このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

学部長挨拶

同志社大学理工学部長 同志社大学大学院理工学研究科長 白川 善幸

米国アーモスト大学で理学士の学位を取得し帰国した新島襄は、同志社英学校に続き理工学の学校を創ろうとしました。それが、新島襄が永眠した1890年の9月、日本初の私立高等科学教育機関として開校した「同志社ハリス理化学校」です。これが礎となり、1944年に工業専門学校が、1949年には新制大学に工学部が設置され、産業界の要望に合わせて電気、機械、化学の3分野を柱とする科学技術教育が本格的にスタートしました。

その後、工学部は1994年、今出川キャンパスから京田辺キャンパスへの統合移転に伴い、知識工学科(現在のインテリジェント情報工学科)を設置、さらに2004年には情報システムデザイン学科、環境システム学科を加え、9学科の編成となりました。科学技術の高度化・複雑化にともない理学の領域を取り入れた工学教育を積極的に進め、1998年には大学院工学研究科に数理環境科学専攻を設置し、工学・理学の領域を超えた学際的研究の基盤づくりに取り組んできました。このように、工学部・工学研究科は本質的な教育改革を進め、社会の中でどのような役割や連携を果たしていけるのかをしっかりと見据えたうえで、少しずつ再編に着手してまいりました。その結果、工学部は2008年に数理システム学科を加え、情報、電気、機械、化学、環境、数理の6系10学科からなる理工学部に、工学研究科は2012年に情報工学、電気電子工学、機械工学、応用化学、数理環境科学の5専攻からなる理工学研究科に生まれ変わりました。

同志社大学理工学部の教育理念は、新島襄が語った「人間のための科学技術」という言葉に象徴されています。これは、「良心を手腕に運用し、地の塩、世の光として各界で活躍できる人物を育てる」という同志社の建学の精神に通じるものであり、科学的に探究する能力と態度を兼ね備え、主体性、多様性、協働性を軸に社会に貢献できる人物を育成することを目指しています。この教育理念を基に、理工学部では、具体的に次の目標を掲げて、教育研究活動を行っています。

  1. 自然科学の進歩に寄与するとともに、その成果を活用して世界平和の構築と人々の幸せに貢献。
  2. 自然科学と工学の基礎及び応用理論を十分に修得した人物の育成。
  3. 狭い分野にとらわれることなく、修得した知識の応用ができ、創造性溢れる人物の育成。
  4. 理工学における柱石となる心構えの熟成。
  5. 知徳を兼ね備え、社会に貢献し得る能力を有する人物の育成。

これらの目標を達成し、「一国の良心ともいうべき」人物を輩出することが我々の使命です。科学技術の発展は目覚しく、その基盤となる理工学もますます高度化・専門化し、医学や経済学をはじめとする多様な分野との融合も見られます。将来、理工学分野の先導的技術者として社会に貢献、活躍するためには、各学問分野での基礎学力をしっかり身につけておくことが大切です。理工学部では1年次からそれぞれの分野で基礎となる科目を設置するとともに、各学年に演習や実験を配置して、基礎理論が十分に理解できるように配慮したカリキュラムを導入し、卒業生の基礎学力を確保します。最終学年に履修する卒業論文では、先進的な研究課題に取り組み、理工学に必要なものの見方、問題発見能力とその解決方法を体得した人物の育成を目指しています。さらにAI・データサイエンス、環境・エネルギー、バイオテクノロジーといった現代社会の複合的テーマについて、自然科学、人文・社会科学分野との横断的な教育・研究体制を実現しています。

また、学部生の半数以上が進学する大学院理工学研究科では、理工学部の人材養成の理念と成果を基礎とし、科学技術の革新に対応できる幅広い基礎知識と専攻分野に関する高度な学識をもち、指導的役割を果たすことができる創造性豊かな技術者あるいは研究者の養成を目的とする一貫的な教育研究活動を展開しています。

同志社大学理工学部・理工学研究科は、どんな技術革新にも対応でき、さらに自ら技術革新を創出できる人物の育成を行っており、社会から高い評価を受けています。総合大学としての特色を生かして、幅広い分野を学ぶことができる教育環境の下で、確かな基礎を養い、時代の新しい潮流を作る力を身につけることができる教育研究体制の充実に邁進してまいります。

同志社大学理工学部長
同志社大学大学院理工学研究科長
白川 善幸