このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

プラズマ物理研究室

教員

粕谷 俊郎(教授)Toshiro KASUYA

DB

研究分野 プラズマ中の複雑な現象に関する研究
研究室 YE-419
TEL 0774-65-6359
FAX 0774-65-6786
E-mail tkasuya@mail.doshisha.ac.jp

吉川 治周 (教授)YOSHIKAWA Harunori

DB

研究分野 流体力学、電気流体力学、熱流体
研究室 YE-414
TEL 0774-65-6354
FAX
E-mail hayoshik@mail.doshisha.ac.jp

研究内容

本研究室ではプラズマに関する応用的及び基礎的な研究を行っており、大別すると3つの分野になる、1つはプラズマと表面の相互作用の問題であり、プラズマを閉じ込める容器がプラズマに与える影響についてさまざまな側面から検討を加えている。この問題は核融合炉における炉壁からの不純物の発生や、イオン源の壁へのCs添加による高効率の負イオンの生成など、な工業的な応用を持っている。この問題を表面の素過程、さらに巨視的な相互作用の両面から研究している。他の1つはプラヅマの生成とイオンの引き出しである。プラヅマを工業的にする上でも高効率なプラズマの生成と、生成されたプラズマからの荷電粒子の効率的な引き出しは重要である。これらを実現するために新たな生成、引き出しの手法の検討や、基礎的なデータの採取によるその物理機構の研究を行っている。最後の1つはプラズマ中の非線形現象の研究である。プラズマは多自由度系利用であり、非線形現象の宝庫である。プラズマを実際に応用する場合にも非線形現象に遭遇することがしばしば起こる。このような様々なプラズマ中の非線現象について、その物理機構を明らかにし、物理モデルを構築する研究を行っている。

1.プラズマと表面の相互作用

(1)負イオンの表面生成
Csなどのアルカリ金属を付着させることによって仕事関係を低下させた金属材料をプラズマ中でスパッタすると、母材金属および表面吸着粒子の負イオンが効率良く生成される。この生成過程を研究している。

(2)高温プラズマによる固体表面の損耗
核融合プラズマなど、高温プラズマに曝される固体材料壁面は通常の物理的なスパッタリングとともに化学スパッタリングによって損耗する。また、プラズマと固体表面の相互作用では複合効果が生じる可能性が高く、基礎的データの整理が不可欠な段階に来ている。本研究室では高密度プラズマ発生装置、およびイオンビーム照射装置を用いて化学スパッタリングや複合効果に関する基礎データを採取している。また、これらのデータを説明する表面吸収着原子・分子の脱離・吸着反応模型を研究している。

(3)分子吸着した金属表面からの光電子放出の測定
金属容器内にプラズマを保持するとき、その壁の材質によって容器中のプラズマの温度や密度が影響を受ける。特に多原子分子のプラズマを生成する場合、壁での再結晶係数や、2次電子放出率さらに光電子放出量などの変化に伴ってプラズマ中の分子の振動励起準位、回転励起準位の分布が変化する可能性がある。そこで、光電子法を用いて分子吸着によって金属表面の状態がどのように変化するか調査している。
Cs添加によるプラズマ中の負イオンの高密度化

2.プラズマの生成とイオンの引き出し

(1)μ波を用いたプラズマの生成
反応性プラズマを効率よく生成する方法としてμ波放電が用いられる。本研究ではμ波電力をプラズマに効率よく吸収させるため、マグネトロン磁場配位を用いて中心導体部にμ波電力を供給する放電構造により生成されるプラズマ中の電子温度、電子密度の空間分布を測定している。

(2)イオンの速度分布関数を考慮した軌道シミュレーション
交流放電においてはプラズマ中のイオンがエネルギー分布を持つため、イオンビームとして引き出す際に位相空間中で独特の分布を示す。このような場合のイオンビームの工学は単純な計算では予測できないため、これを計算プログラムを開発中である。

(3)正負イオンの同時引き出しによる低エネルギービームの輸送
高電流密度の重金属イオンビームが表面生成により得られる。そこで、負イオンビームと正イオンビームを同じ空間中に引き出すことによって空間電化を打ち消せば、ビームの発散を押さえて長い距離を輸送することが可能となる。このようなビーム輸送は特に低エネルギービームに対して効果的である。

(4)プラズマ中の負イオン密度の測定
レーザー光線脱離法を用いてプラズマ中の負イオン密度を測定できる。本手法には主としてパルスレーザーが用いられるが、dcレーザーを用いることもできる。現在の測定ではプラズマ中にプローブを挿入する必要があるが、プローブの存在によって光脱離信号がどのような影響を受けるか、実験・理論の両側面から検討している。
正負イオン同時引き出しによる空間電荷効果の緩和

3.プラズマ中の非線形現象

(1)AC変調を加えた放電プラズマ中のカオス現象
放電管において放電電圧に変調を加えると、変調の大きさによってはプラズマ中のイオン密度がカオティックに振舞う。本研究ではカオス状態にいたる2つのルートが存在することを明らかにし、その非線形性の元となる物理機構について、ポテンシャルの緩和振動や電離・再結合の効果について実験とシミュレーションによって検討を加えている。

(2)ビーム・プラズマ系における非線形不安定波動
プラズマ中にビームを入射すると不安定波動が励起する。しかし、極端に高密度のビームが入射した場合には、よく知られた線形不安定波動とはまったく異なる波動が励起する。また、局所的に磁場の存在する領域に超音速のビームを入射した場合にも、無衝突衝撃波が発生することが知られている。これらの現象の物理機構について、実験と計算機を用いた数値実験によってその物理モデル構築する研究を行っている。

(3)導体表面におけるプラズマの挙動の研究
プラズマ表面に形成されるシースは、プラズマから入射する粒子の速度を決める。シースは準中性条件が破られているため、本質的に非線形性を持っている。導体表面に高圧のパルス電圧を印加すると、シース形状はパルス幅やパルス間隔、パルス高に依存して変化するだけでなく、パルスを印加する度にその形状が過度変化している可能性がある。本研究ではパルス電圧印加時のシースの状態について状態について検討を加え、導体に入射する粒子の速度、電流量等とパルスパラメータとの関係を研究している。
シースポテンシャルの過渡解析