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電力系統解析研究室
教員
長岡 直人(教授)Naoto NAGAOKA
DB研究分野 | インフラシステムの数値解析と設計 |
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研究室 | YE-314 |
TEL | 0774-65-6324 |
FAX | 0774-65-6801 |
nnagaoka@mail.doshisha.ac.jp |
馬場 吉弘(教授)Yoshihiro BABA
DB研究分野 | 環境電磁工学 |
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研究室 | YE-412 |
TEL | 0774-65-6352 |
FAX | |
ybaba@mail.doshisha.ac.jp |
研究内容
1.概要
電力工学の最終的な目的は安定な電力供給を行うことにある。従って、電力系統は「安全」、「高信頼性」、「有効性」、「経済性」を考慮して設計、構築、運用されなければならない。しかしながら、電力系統は極めて大きいシステムであるため、すべてを実験により検証することは不可能である。本研究室の主たるテーマは、電力系統の数値解析法の開発と、これに用いる電力機器の数値モデルの開発である。Fig.1に研究テーマの概略を示す。2.モデリング
しゃ断器により発生する開閉サージあるいは雷による雷サージ電圧は、電力系統の絶縁レベルを定める。従って、経済的な電力系統を設計するにあたっては、高精度な過電圧の予測が重要である。これには、まず電力機器を表現する高精度な数値解析モデルが必要となる。本研究室では、電力系統で用いられる各種機器のモデル開発を行っている。送電及び配電系統における主要機器は、分布定数線路である架空送電線ならびにケーブルである。線路長が大であり、大地の影響を受ける架空送電線においては、線路の波形伝搬特性は周波数特性を有する。ケーブルにおいては、シース厚みが小であるためこの伝搬特性も周波数の関数となる。本研究室では、これら均質線路の周波数依存性を高精度に考慮し得る数値解析モデルを提案してきた。さらに、非均質線路として取り扱う必要のある鉄塔に代表される垂直導体、あるいは接地を考慮した有限長の線路モデルの開発を行っている。これらのモデル開発にあたっては、理論的な電磁界解析を始め、線路モデルを表現するに適した関数近似法の開発を行うとともに、スケールモデルによる実測を行い解析モデルの精度を確認している。さらに、多相分布定数線路の誘導特性を応用して、高電圧を非接触にて高精度に測定する装置の開発を行っている。
変電所は、変圧器、母線、しゃ断器、アレスタ等各種機器が有機的に結合されて構成されている。低周波領域におけるこれらのモデルは周知であるが、本研究室においてはサージ解析に必要となる広帯域数値モデルの開発を行っている。これら機器の電圧-電流特性は非線形性を有しているため、モデル開発においてはこの特性を十分に表現する必要がある。特にしゃ断器は放電現象であるアーク特性を考慮する必要があるが、本研究室で開発したモデルは極めて容易な関数でこの特性を考慮し得ること、および計算時間が短い特徴を有する。さらに、この研究で開発したモデルをプラズマ応用研究室の藤田と共同で改良を加え、放電ランプモデルを開発し良好な結果が得られている。なおこのモデルについて発表した論文は学会において論文賞を得ている。
鉄塔、変電所においては、接地が施されるが、これまで接地抵抗の周波数特性についてはほとんど無視してサージ解析がなされてきた。理論解析ならびに実測により、接地インピーダンスの過渡特性を明らかにするとともに、このモデル開発を行っている。
3.過渡及び定常解析
先に述べたモデルを用いた解析は、時間領域あるいは周波数領域において実行される。電力系統は極めて大きいシステムであるため、その解析プログラムには汎用性が要求される。本研究室では、時間領域の系統解析プログラムを米国政府エネルギー省と共同開発している。このプログラムはElectromagnetic Transients Program EMTPと呼ばれ、世界中で広く用いられている。周波数領域の解析においては、高精度な数値ラプラス順逆変換法を開発しており、さらにこれを応用した汎用周波数領域過渡現象解析プログラムFTPを有している。高調波は、パワーエレクトロニクス技術を駆使した機器の普及により近年急速に問題となっている。電力系統に流入する高調波電流により、需要家変電設備に被害をもたらし、人身事故となった例も報告されている。これらの事故を未然に防ぐため、高調波の推定とこれによる速やかな対策が急務となっている。本研究室では、簡易かつ高精度な高調波推定プログラムの開発とともに、変圧器結線の多相化による有効な高調波対策法を提案し、現在では多くのビル配電システムに適用されている。
インテリジェントビルにおいては、配電システムの高調波ならびに雷サージにより生ずる誘導によって、情報機器を始めとする機器の誤動作あるいは故障が問題となっている。高調波誘導障害に対する検討は、障害発生後に誘導電圧・電流を実測する域にあり、過渡現象である雷サージによる誘導はほとんど考察されていない。従って、その対策は経験則によるところが大であり、系統立てた誘導の推定あるいは対策はなされていない現状にある。本研究室においては、複雑な構成を有するインテリジェントビルにおけるこれらEMC問題を明らかにする解析法を提案している。