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新エネルギーシステム研究室
教員
後藤 琢也(教授)Takuya GOTO
DB研究分野 | エネルギー創製・貯蔵・輸送・利用の研究 |
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研究室 | KE-408 |
TEL | 0774-65-6676 |
FAX | |
tgoto@mail.doshisha.ac.jp |
研究内容
- 琵琶湖および周辺地域の環境修復・保全と新エネルギーシステム
- 「水素エネルギーシステム」と「アンモニアエコノミー」
- 新規な機能性材料の創製
- 機能性希土類-遷移金属合金膜の創製
- 電気化学プロセスによる炭素皮膜の形成
- プラズマ誘起電解による機能性微粉末の製造
- 熱エネルギーの電気エネルギーへの高効率変換
主な研究テーマ
1.琵琶湖および周辺地域の環境修復・保全と新エネルギーシステム
環境に調和したエネルギーシステムとして、「水素エネルギーシステム」の構築が望まれており、有効な水素の製造、輸送・貯蔵、利用方法の開発が進められている。水素の製造については、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーが使えるという点からも、水の電気分解による方法が優れている。この場合、陽極で得られる酸素が有効に利用できると、水電解法の優位性がさらに高まることになる。このような観点から、琵琶湖の水を湖底で直接電気分解して、陰極で水素を得ると同時に陽極で得られる酸素を琵琶湖の低酸素化防止のために役立てるという一石二鳥の水電解法について、基礎研究を進めると同時に、実地でのフィールドワークを近い将来に行うための準備を進めている。また、陰極で生成する水素の持つ化学エネルギーの有効利用法についても研究を進めている。2.「水素エネルギーシステム」と「アンモニアエコノミー」
水素エネルギーシステムの実現にむけ、水素の貯蔵・輸送・利用に役立つキーマテリアルとして、「アンモニア」を活用するための基盤技術を確立しておく必要がある。一方、アンモニアは、肥料や化学品の原材料として利用されるばかりでなく、窒素酸化物の還元剤や冷凍・冷却用熱媒体としての用途も拡大しつつある。アンモニアをキーマテリアルとしてこれらの工業・農業利用と水素エネルギーシステムでの利用をネットワークで連携させることにより、新たな経済システム「アンモニアエコノミー」の世界を創出することができる。この構想を現実のものにするために、従来のハーバーボッシュ法に代わり得る、簡便でエネルギーコストの低い新規な「常圧アンモニア電解合成法」を提案し、その研究開発を進めている。3.新規な機能性材料の創製
溶融塩を反応媒体に用いた電気化学プロセスにより、「希土類-遷移金属合金膜」、「炭素皮膜」、「ナノ粉末」等々、多種多様な新規な機能材料を創製する新規な方法を提案し、その可能性を実証してきた。二、三の例をとりあげて、以下に概要を説明する。機能性希土類-遷移金属合金膜の創製
希土類のイオンを溶かし込んだ溶融塩を電解質に用いて、例えば鉄、ニッケル、コバルトなどの遷移金属を陰極にして電流を流すと、種々の希土類-遷移金属合金薄膜が得られる。また、このようにして形成させた合膜から、電気化学反応を利用して特定元素を選択的に溶出させると、膜組成とともに、膜の形態も、緻密室から多孔質まで様々に変化させうる。この手法の磁性材料、電極材料、触媒材料、マイクロリアクター等への応用展開を目指して、様々な合金膜の創製に取り組んでいる。電気化学プロセスによる炭素皮膜の形成
炭酸リチウムなどの炭酸塩を溶かし込んだ溶融塩を電解質に用い、銅やアルミニウムを陰極として電流を流すと、陰極表面に様々な形態の炭素皮膜を形成させることができる。この皮膜の形態や構造は、電極基板の種類、通電時の電位波形や電流波形等によって様々に変化させることができる。得られる炭素皮膜の形態や構造と電解条件の間の関係をより定量的に把握する研究を進め、電気二重層キャパシターや電池、さらには触媒など、それぞれの用途に適した炭素皮膜を得るための最適条件を探索している。また、炭素と他の各種元素を組み合わせて新たな機能を発現させることを目的として、複合皮膜の電解形成にも取り組んでいる。プラズマ誘起電解による機能性微粉末の製造
銀イオンなどの金属イオンを溶かし込んだ溶融塩の浴面から上方に2?5ミリメーター離れた位置に陰極を置き、200ボルト程度の電圧を印加すると、雰囲気ガスがプラズマ化するとともに、電子シャワーが浴面に降り注ぐようになる。このとき、浴中のイオンは電子を受け取って、超微細な銀粒子などを形成する。一旦雰囲気がプラズマ化すると、数十ボルトの電圧でも電流が継続的に流れるようになり、連続的に微粒子が生成する。この原理を用いて、種々のイオンや化学種を溶融塩中に溶かし込むことで、磁気記録媒体、光触媒、顔料、電池電極、電気化学キャパシター、触媒など、それぞれの用途に適した様々な金属や化合物の機能性微粒子を形成させている。これらの技術シーズを実用化に結びつける研究開発を推進する一方、新反応の発見や、さらに先端的な新材料の創製法の創出を目指して、溶融塩系での化学反応・電気化学反応に関わる学術研究を継続的に進めている。