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情報システム学研究室

教員

芳賀 博英(教授)Hirohide HAGA

DB

研究分野 ソフトウェア工学、社会シミュレーション
研究室 KE-210
TEL 0774-65-6978
FAX 0774-65-6978
E-mail hhaga@mail.doshisha.ac.jp

研究内容

研究の背景と目的

コンピュータ、特にその心臓をなすCPUの性能は飛躍的に向上し、もはや通常の用途には十分なパワーを持つに至った。次に我々がなすべき事は、強力になったコンピューティング・パワーを用いて「何を」作るべきか、という問いに対する答えを模索することである。これからのコンピュータは、「社会」即ち「Social Benefit」抜きには考えられない。本研究室では「社会」という視点を失わずに、社会が必要とするシステムとは?という問いの答えを模索して行きたい。
社会のニーズを的確に捉えるためには、大学の中に閉じこもっていてはいけない。本研究室では積極的に学外の諸機関とのコラボレーションを実施している。ただし、単なる共同研究ではいけないと考えている。本当の対象領域の専門家とのコラボレーションから「本物」を求めてゆきたいと考えている。技術分野としては、大きく分けて2つある。ひとつはユビキタスコンピューティングである。このテーマでは「コンピュータを使っていると意識しないサービス」を目指して、電子図書館、幼児教育分野などを対象として取り組んでいる。ここでは、各種センサの応用技術が必要となる。もう一つのターゲットは、講演会・お祭りなどの「イベント情報」を社会的に流通させる枠組みをプロモートする活動である。下図は、ある自治体と共同開発した広報情報(イベント情報)発信システムの処理概要である。研究室所属学生により開発され、実際に当該自治体でのテストランを行ったものである。
研究の背景と目的

問題解決のアプローチと方法

上記の観点から、「解くべき課題」を見出すべく、種々の組織とのコラボレーションを実施している。具体的には、自治体、新聞社、幼児教育機関、そして、携帯電話・電話会社などである。そこでは、実際に「システムを作り上げる力」を養成することを目指し、各種の応用システムを開発している。そこでは、センサデータ処理技術、画像処理技術、ネットワークシステム構築技術を活用しつつ、社会的な意義のあるシステムを開発している。
下図は、「電子図書館システム」の概念を示している。書棚の両脇には小さなカメラが装着されている。一方、すべての本には特別なマーカがついており、これをカメラ動画像処理で識別する。これによって、人間が本を取り出した入り、返却するとただちに分かり、次の利用者への情報として活用できる。ここでは、動画画像処理、超小型コンピュータPICを用いた制御技術の研究、Webサービスを用いた図書館利用者への情報提供システムの研究などを行っている。
問題解決のアプローチと方法
また、下図は、室内における人間の位置、姿勢などを自動的に追跡するシステムである。最近の情報家電で注目されている組み込みコンピュータ(Linux)とモーションセンサを用いており、カメラ動画像処理と併用して、人間の位置を出している。このプロジェクトの目的のひとつは、幼児の動きを追跡して、子育て支援に資することである。すでに、幼稚園児に歩数系を装着してもらい、集団の中での子どもの特性を分析して、保育者の「気づき」を支援するなど、「幼児教育とIT」は日本の中でもユニークな研究となっている。
問題解決のアプローチと方法

具体的な研究テーマ

本研究室の具体的な研究テーマは以下の通りである。

XML

XMLとは各種のタグを付けて統一的なデータ管理を実現するための一種の言語である。WEBサイトのデータを記述するためのHTMLを拡張したものと考えることが出来る。我々はこのXMLの一種であるNewsML(新聞記事用XML)をベースにして、各種のイベントデータを統一的に扱うことの出来るシステムの構築を、自治体と共同で開発して来た。2005年度は、更に一歩進めて、新聞社と自治体を結んだ配信システム、自治体情報の流通システムなどに挑戦したい。

Ubiquitous Computing System

Ubiquitous Computing Systemとは実世界のモノにチップを埋め込み、そのコンーティング能力を活用して、各種のサービスを実現するシステムである。俗に言われている「どこにでもコンピュータがある」という環境ではなく、「コンピュータを見えなくする」という風に考えることが出来る。この分野の具体的なテーマとしては、幼児教育、電子図書館システム、障がい児教育支援システムなどがある。この分野ではソフトウエアとハードウエアの双方の技術が不可欠である。そのため、本研究室ではセンサ技術、マイクロコントローラなどのハードウエア技術と制御用ソフトウエアなどのソフトウエアの両方をターゲットとしている。また実際に開発したシステムを現場に持ち込み、実世界でのフィールドテストを積極的に行っている。

MOT

MOTとはManagement of Technologyの略であり「技術経営」とも呼ばれており、「技術を中心としたコンペティティブな組織を構成・運営するにはどうすればよいか」を考える領域である。現在我々が実施しようとしていることは各種の「流行」がどのような社会背景から生まれ育って行くのかイノベーションがどのように発生し、普及していくのかをとらえる事である。このため経営学・統計学・グラフ理論などを用いて解析を試みている。