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“科学するガールズ”が活躍する時代へ

  • 同志社大学大学院 理工学研究科博士課程(前期課程) 情報工学専攻 ネットワーク情報システム研究室 鬼木(おにき) 明日香(あすか)さん
    鬼木(おにき) 明日香(あすか)さん
    同志社大学大学院 理工学研究科博士課程(前期課程)
    情報工学専攻 ネットワーク情報システム研究室

生活の安心をつくる、セキュリティ女子の挑戦

私たちの生活を格段に便利にしているコンピュータの技術。コンピュータでコミュニケーションをとったり、ショッピングをしたりする上で、個人情報が漏洩したり、知らない誰かに操作されたりしないようにするセキュリティ技術が欠かせません。日々進化し続けるセキュリティ技術をもっと便利にしたい、と開発のプロを目指す1人の女性がいます。

大好きなコンピュータの仕事につきたい

鬼木さんにとってコンピュータは幼稚園の頃から身近な存在。コンピュータ好きな父親が壊れたPCを直す様子などを見て、自分もできるようになりたい、と憧れていました。コンピュータやインターネットに携わる仕事をしたい、と決めたのは高校生のとき。プログラミングや理論計算などの数学的な要素のほか、最先端の人工知能や社会における情報技術の役割を考える機会など、情報関係の仕事に役立ちそうな様々な授業が学べることが魅力で、同志社大学理工学部の情報システムデザイン学科に進学しました。学んで行く中で特に興味を持ったのがセキュリティに関する研究でした。セキュリティが守られないことで大きな事故につながったり、サイバー攻撃を受けたりするニュースをよく見るようになり、なぜ完全に守ることができないのだろうか、なんとかならないのだろうか、と疑問を持ったと言います。学んだコンピュータの知識を活かして、もっと世の中に役立てたい、という気持ちが芽生えたのです。

仲間で集まって試行錯誤する研究生活の楽しさを感じて

「授業を受けて一番楽しかった」という先生のもとで始めた研究は、銀行のATMなどでICカードを取り出さなくても自動で個人を認証できる仕組みの研究です。研究をはじめてみて改めて感じたのは、その奥深さでした。本当にその技術を使えるものにするには、技術を新しくするだけでなくて、便利さと安全性、実現可能性とのバランスなど、多くのことを検討する必要があり、考える力が鍛えられたといいます。また、興味が同じ方向を向いている仲間と集まって、実際の世の中に役立つための試行錯誤をすることは、授業では味わえない楽しい時間でした。「情報科学の研究の良いところは新しいものを試す実験がしやすい、ということですね。試しに書いたコードが成功するかどうか見守るときが一番楽しいです」。

セキュリティのプロを目指してまっしぐら

卒業後は企業でセキュリティの研究を続ける予定です。車や家電製品など、これからもっと身近な機械でもインターネットが利用され、できることは増えていきます。便利に動かそうと思ったら安全性に課題ができ、セキュリティを強固にすればするほど動かしにくいものになる。そのジレンマに立ち向かうため、企業への就職を選びました。「セキュリティ技術のおもしろさの追求と、世の中の役に立つことの両方を実現できる」と確信しています。「情報科学の研究をする女子はまだ少ないけれど、どんな業界でも必要となる技術だし、働く場所だって選ばない。女子にとっては働きやすい仕事でもあると思います。何よりも、好きな分野のプロになるのはかっこいい」。迷いのない鬼木さんの言葉はとても力強く、頼もしいものでした。

(取材:2016年2月)