研究内容
回路システムの電圧、電流波形や動作モードの解析を基礎とした応用研究、およびその実験的検証を行っています。最近では、コンピュータを用いた解析方法の提案や、パワーエレクトロニクス回路のコンピュータを用いた制御実験などに力を入れています。テーマ例とキーワードを以下に示します。
1.コンピュータを用いた回路解析方法と自動回路設計
コンピュータによる新しい回路解析手法、およびそのソフトウェア開発を行っています。タブロー法などの電気回路の定式化手法では、抵抗やコイルなどの通常の回路素子は容易に取り扱えますが、ディジタル素子を含む回路は取り扱いが難しい。そこで定式化方法の汎用化を行い、取り扱いを容易にする手法を開発しています。また、回路を設計する上でのパラメータの決定は回路が複雑化するにつれて困難となため、評価関数を用いて最適回路パラメータを設計する手法についても検討しています。さらに、複雑化する回路の解析を高速化するために、2台以上のコンピュータを用いて並列処理するためのアルゴリズムについて研究していています。
- 混成系の定式化手法・マルチレート法やパラメータ感度解析法を用いたトレランス解析・回路の最適パラメータチューニング方法の検討・遺伝的アルゴリズムを用いた自動回路設計・回路解析の並列処理アルゴリズムの開発
2.電気機器の故障診断法の開発
測定で得られた回路の電圧、電流波形に対してスペクトル解析、デコンボリューションによる波形変歪補正、モデルのパラメータ推定などのデジタル処理を自動的に行うための手法を開発しています。また、変圧器巻き線のステップ応答を測定することにより、任意の入力波形に対する応答を計算する手法を開発しています。
- 汎用回路データ処理システムの開発・コホネンの自己組織化マップを用いた変圧器の故障診断
3.パワーエレクトロニクス回路の動作解析と制御方式
コンバータ回路はクランプ回路の付加などで複雑化しており、その動作モードの解析にはコンピュータによる数値解析法の適用が必要となっています。このため、自動的に動作モードの解析を行うプログラムを開発しています。また、最適制御や繰り返し制御などの手法を用いて、安定かつ高速にインバータを制御する方式の開発をしています。
- パワーエレクトロニクス回路の動作モード解析、高周波インバータ・パワーエレクトロニクス回路の非線形制御、インテリジェント制御
4.回転電気機械の振動解析と駆動方式の検討
回転電気機械(電動機やフライホイール電力貯蔵機など)に生じる機械的な振動と電気的な振動の連成振動について実験的な解析を行っています。ロータの偏心が原因で発生するふれまわり振動については、回転機の発生するトルクを制御することで振動を抑制する方法について研究しています。また、3相誘導電動機のベクトル制御方式についても実験的に検討を行っています。
- ふれまわり振動の解析とトルクを用いた制御方式の開発・ねじれ振動と発電機出力の関係・3相誘導電動機の最的な回生トルクの導出、省エネルギー化をめざした電力貯蔵装置の制御方法
5.電動車両のスリップ制御法の開発
モーターで駆動する車両の車輪と路面間のスリップ現象の発生原因の究明を行い、加速がよくて乗りごこちよく車両を駆動する方法について検討しています。
6.回路システムの安定性解析とその実験的検討
回路システムを微分方程式で表したときの係数行列の性質を用いた安定性解析を行っています。また、ロバスト安定化するための制御理論の提案を行い、その有効性を実験で検討することを行う予定です。
- システムの持つ性質を用いた安定性解析・線形時不変、線形時変、非線形自律システムの平衡点の安定性解析