地球システム科学研究室
教員
小畠 秀和(教授)KOBATAKE Hidekazu
DB研究分野 | 地球物質科学 |
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研究室 | HS-110 |
TEL | 0774-65-6680 |
FAX | 0774-65-6801 |
hkobatak@mail.doshisha.ac.jp |
福間 浩司(准教授)Koji FUKUMA
研究内容
地球物質科学
小畠 秀和 教授地球物質科学
地球システムではいろいろな物質がその形を変え、循環しています。当研究室では、結晶成長や物性計測といった物質科学的視点から、このシステムを作りだした地球の進化やその未来についての研究を展開しています。溶けたマグマのように1000度を超える高温の物質の性質を明らかにすることや、地球の歴史を通じて長い時間をかけて進行する変化、そして複雑な生命活動が関与する結晶成長を解明することを目指しています。これら多岐にわたる地球上で起こる現象を、核形成や結晶成長、物性計測といった切り口から普遍的な科学として理解し、解明していきます。地球の問題を解決するために、研究のフロンティアを一緒に広げていきましょう。
主な研究テーマ
・浮遊法による非接触での高温融体の物性計測
浮遊法を用いて、容器を用いた方法ではアプローチが難しかった高温の溶融状態にある物質の熱物性を調べます。高温の物質がどういった性質を持っているのか、実験的に明らかにしていきます。
・新しい高温での温度測定法の開発
高温のマグマなどの物性を非接触で測定しても、その物性が現れる温度が正確に測定できていなければあまり意味がありません。これまで非接触での温度測定で利用されてきた放射温度計による温度計測では、放射率と呼ばれる物質固有の物性値が必要でした。そこで、産業技術総合研究所と東北大学との共同研究で、放射率がなくても温度が測定できる新しい高温での温度測定法の開発を進めています。
・核形成および結晶化プロセスのその場観察
高温のマグマからどのように結晶が生まれて来るのか、この研究室では高温のその場観察装置を用いて、高温の融体から結晶が成長していく様子を明らかにするための研究を進めています。
・潜熱を利用した熱エネルギー貯蔵材料開発
エネルギーを熱として貯蔵し利用する技術が変動の大きい再生可能エネルギーを安定化させる技術として、世界で注目されています。この熱エネルギー貯蔵の効率を上げる方法として、高温での融解熱などを利用した熱エネルギー貯蔵材料の研究を進めています。
・過冷却からの機能性材料の作製
浮遊法を用いることで、容器を用いた方法では難しい準安定な物質を作り出すことができます。この浮遊法を使い、新しい材料の開発や、容器のない宇宙空間で形成された地球外物質の進化を明らかにする研究を進めています。
・生命活動が関わる結晶成長とその利用
養殖で出てくる貝殻などは現在、水産廃棄物として処分されています。こういった生命活動で生まれた結晶を機能性材料として使うことができないか研究を進めています。
・風化プロセスにおける結晶成長
風化では岩石を構成する鉱物が破壊されるプロセスですが、同紙に新しい別の結晶が成長する瞬間でもあります。この風化を別の新しい結晶が生まれる場としてとらえて研究しています。
磁気から探る地球システム
福間 浩司 准教授
地球の核から生じる磁場は,惑星間空間から飛来する太陽風や銀河宇宙線に対してシールド効果をもち,地球表層に生命が存在できる環境をもたらしている.地球磁場強度は機器による観測がはじまった19世紀半ばから100年で約5%の割合で単調に減少しており,この減少がつづけば約2000年後に地球磁場はゼロになる.太陽風や銀河宇宙線に対するシールドがとりのぞかれてしまい,地球表層の環境は大きく変化するだろう.機器観測がはじまる以前の地球磁場を火山岩・堆積物・考古遺物の測定からもとめ,球面調和モデルにより数百年から数千年の時間スケールでの地球磁場の変化を復元することをおこなってきた.野外での試料採取にはじまり,より高精度の測定をおこなうために測定装置を考案し,測定データを解析するためのソフトウェアをつくってきた.機器観測以前の地球磁場の方向だけでなく強度も高精度で得ることができるようになり,地球磁場と太陽風や銀河宇宙線の相互作用をあきらかにする道がひらけつつある.
最近の主な研究テーマ
・GPSコンパスによる定方位試料の採取
・熱消磁装置つき自動スピナー磁力計の考案
・四元数にもとづく試料方位の変換
・磁気ヒステリシス曲線の数値分解
・過去400年間の地磁気双極子強度の変化
・東アジアにおける過去3000年間の考古地磁気モデル