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電子工学科
情報通信時代を支える最先端の電子工学技術をまなぶ
電子工学は、通信や情報処理に“信号”などとして活用される「電気」を扱う学問です。
“情報通信時代”と呼ばれる今日、携帯電話や衛星通信、光ファイバー通信、カーナビ、あるいはパソコン、コンピュータを組み込んだ各種電子家電など、電子工学技術の応用範囲は社会と生活のあらゆる場面に広がっています。
電子工学には、ディジタル信号など情報の信号化、光、超音波、電磁波など通信媒体、通信の手段となる情報通信機器といったように“情報の伝達”をテーマとする「通信工学」とICやLSIなど情報通信機器に不可欠な“電子材料”をテーマとする「電子デバイス工学」の二つの分野があります。電子工業は、いまや国際的な基幹産業としてめざましい発展を遂げていますが、この「通信工学」と「電子デバイス工学」の高度なコンビネーションのおかげともいえます。これらの分野は技術革新が大変速く、基礎的な知識や技術に加えて、技術環境や産業ニーズの変化に即応できるフレキシブルな発想が必要です。世界の電子工業をリードしてきた日本だけに、たくさんの卒業生が、電子・通信関連企業で研究開発を行っています。卒業生の約40%が大学院へ進みますが、大学院修了者も第一線で活躍する研究者・技術者として電子立国日本の技術基盤を支えています。
通信システム |
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光エレクトロニクス |
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電子デバイス |
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研究クローズアップ
伝搬路特性に基づく秘密鍵共有方式
インターネットの爆発的な普及に伴ってネットワーク通信を利用する機会が多くなりました。無線通信の利便性を活かした無線LANも広く普及していますが、電波は広範囲に放射されるため有線通信よりも盗聴の危険性が高いと言われています。有線通信では盗聴対策として正規ユーザー間で共通の鍵を用いてデータに暗号をかける方式が用いられていますが、無線通信ではこの鍵を正規ユーザー間で安全に共有することが困難であるという問題がありました。このような課題に対して、無線通信の特徴を応用した暗号鍵共有技術の研究を行っています。無線通信環境では、電波の強さが不規則に変動する「フェージング」が発生します。このフェージングの特性は、ある二地点間では送信・受信の間で同一となりますが、位置の異なる他の無線局(たとえば盗聴局)では別なものとなります。このフェージングを暗号鍵生成に応用することで、正規の無線局間のみでしか共有できない安全な暗号鍵生成技術を開発しました。また、エスパアンテナや切替型アンテナを用いて人工的にフェージングを発生させる方式を開発し、短時間に確度の高い秘密の暗号鍵を共有することに成功しました。このような方法により生成した暗号鍵を用いてデータ通信を行うことにより、無線通信を安全に利用することが可能となります。
*:国際電気通信基礎技術研究所(ATR)との共同研究